NTTの今後の株価は?
NTT(日本電信電話)は日経平均に初期から採用され続けている、日本で最も歴史ある銘柄の一つです。
バブル崩壊前には株価318万円を記録し、世界時価総額一位になりました。
今で言うApple的な立ち位置です。
今でも緩やかに株価成長も狙える高配当銘柄として、個人投資家からも投資家に人気の銘柄です。
NTTの中期経営計画を参考に、10年後の株価を左右する注目取り組みについてまとめました。
この記事を読むことで、NTTグループの主力ビジネスや、今後に向けた成長戦略の概要を知ることができます。
NTTの10年後の株価:
NTTグループとは
NTT(日本電信電話)は日本を代表する通信企業。
日本全国に持つ通信網で、日本の通信インフラを支えています。
なお、2023年度のNTTグループ全体の売上高は約13.4兆円。
日本企業の売上高ランキングでは、第7位です。
また、連結子会社を900社超も持つ、超巨大な企業グループでもあります。
その中でも、グループの中心となっているのは下記4つの子会社です。
企業名 | 事業内容 | 年間売上高 |
---|---|---|
NTTドコモ | 携帯電話事業等 | 約6.1兆円 |
NTTデータ | システム開発 | 約4.3兆円 |
NTT東日本 | 地域通信事業 | 約1.7兆円 |
NTT西日本 | 地域通信事業 | 約1.5兆円 |
通信、携帯、システム開発といった多様な事業で岩盤の顧客を抱えているのがNTTグループの強み。
今回は、そんなNTTグループが発表している中期経営計画をもとに、NTTの今後の注力領域をまとめます。
10年後など今後の株価を考える参考にしてみてください。
NTTの10年後の株価:
”成長分野”に5年間で12兆円の投資
NTTグループは2022年〜2027年の期間で、中期経営計画を策定しています。
多様な事業を行なっているNTTですが、その中でも“成長分野”を定め、5年間で約8兆円投資・出資をする計画。
既存分野を含めると、投資額はトータル約12兆円にも及びます。
12兆円というと、NTTグループの2022年度の売上高が13兆円ですから、かなり攻めの計画であることが分かります。
実際、前中計に比べて投資額は倍増しています。
そんなNTTの“成長分野”から、特に注目の3つの事業をまとめました。
- IOWN事業
- スマートライフ事業
- グリーンソリューションの推進
それぞれの内容について見ていきましょう。
NTTの注力事業①
IOWN事業
NTTは2019年にIOWN構想を発表しました。
IOWNとは、5Gの次の通信技術において、世界標準を狙うNTT肝入りの研究です。
「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、光を使った次世代のコミュニケーション基盤のこと。
平たくいうと、次世代のインターネット通信基盤のことです。
2030年頃の実用化を目指し、2019年から研究開発を進めています。
特徴はなんといっても、通信性能です。
現在のインターネット通信に比較して、
- 電気消費量が100分の1
- 電送容量が125倍
- 遅延が200分の1
になると言われています。
IOWN搭載のチップが開発されれば、スマホの充電が年間一回で済むとも言われる、とにかく革新的な技術構想。
中期経営計画では、年間約1,000億円を目安に投資を続けるとされている期待の事業です。
NTTはこの技術で世界標準を狙っています。
その証拠に、NTTは「IOWN GLOBAL FORUM inc」というコンソーシアムを立ち上げました。
インテル、マイクロソフトなど、海外企業を含む連合軍を組み、世界に通用する技術を目指し開発を進めています。
NTTは2000代初頭、iモードで世界を席巻しました。
しかしその後の規格作りで海外勢に遅れを取り、結局日本でしか使われない技術になってしまいました。
また、5Gでも海外勢に主導権を握られてしまいました。
これらの反省を活かし、最初から海外勢を巻き込む形で、かなり早いタイミングから研究開発で先行しています。
NTTは三度目の正直として、IOWNで世界を取るという並々ならぬ思いがあります。
IOWNが実用化されると、
- 自動運転の高度化
- 遠隔医療の実現
- 農作物の需要予測によるフードロスの削減
など、日常の様々なシーンでの活躍が期待されています。
なんといっても現在私たちが使っているインターネットとは比べ物にならない超高速・低遅延の通信です。
IOWNの実用化に合わせて、それを利用した様々な革新的なサービスが登場するでしょう。
2024年8月に、世界初のIOWNを使った国際ネットワークが、台湾と日本の間で開通しました!
NTTは、IOWNでデータセンター間通信を高速化する技術をパッケージ化。
昨今、盛り上がりを見せるデータセンター需要に対して、様々な企業に売り込む体制を整えました。
なお、日本政府は、IOWNを国内データセンター間の通信に積極活用する方針を発表。
NTTの世界覇権への野望の一歩となるか、注目です1
NTTの注力事業②
スマートライフ事業
中期経営計画には、データドリブンによる新たな価値創造として
- ドコモ顧客基盤を活かしたパーソナルビジネスの強化
- 社会、産業のDX/データ利活用の強化
- データセンターの拡張、高度化
の三つを掲げています。
この中でも、1つ目のパーソナルビジネス強化(=スマートライフ事業)は、ドコモの顧客基盤を活かした事業です。
NTTドコモの回線契約者数は8,300万人と言われ、令和5年の総務省の調査によると、契約者シェアは競合を引き離してダントツ1位です。
そのような顧客基盤に対して、d払いやdカード、dマガジンなどが様々なサービスを提供しています。
豊富な顧客基盤のユーザー行動を分析することなどにより、顧客一人ひとりに最適な⽣活価値・ライフスタイルを提供することを目指します。
昨今の携帯料金値下げなどにより、携帯事業は頭打ちになってきています。
そのような中、次なるドコモを形作っていくのは、強固な顧客基盤を活かしたスマートライフ事業とされています。
ドコモの中期経営計画には、
- d払い
- dカード
- dマガジン
などの既存サービスに加え、
- オンライン診療サービス
- メタバース関連サービス
など、新規領域にも注力し、d会員の魅力を高めることで、他社との差別化を目指しています。
なお、スマートライフ事業は、ここ数年は年間15%前後の成長を記録する成長分野です。
ドコモ内の売上比率は、2023年度で20%弱ですが、2025年には法人事業と合わせて売上比率50%超えの事業にすることを目標としています。
岩盤の携帯顧客基盤を活かし、サービスで稼ぐ体質へと変革の途中です。
NTTの注力事業③
グリーンソリューションの推進
NTTの中期経営計画の3つ目の注力事業として、循環型社会の実現が挙げられています。
その中でも「グリーンエネルギー × ICT」で実現するグリーンソリューションに、5年で約1兆円の投資を行う計画です。
グリーンソリューションとは、
- 再生可能エネルギーの発電事業の拡大
- 地産地消型の最適化された電力の安定供給
をICTの力を使って実現するというものです。
また、ICTを使った一次産業(農業、漁業など)の効率化・フードロスの削減などにより、循環型社会の実現を目指します。
グリーンソリューション推進のキーとなるのが、中核子会社のNTTデータです。
国内屈指のシステムベンダーとして、日本のICTインフラを支えています。
NTTデータは、2021年にグリーンイノベーション推進室を設立。
自社のCO2排出量削減はもちろん、国内外の事業会社と連携しグリーンビジネスの拡大をしています。
既に、下記を一例とした多様なソリューションを展開しています。
- グリーンデータセンター
- CO2排出管理、排出量取引ソリューション
- 環境経営コンサルティング
NTTグループとしてはIOWNや5G/IoTといった数多くのケイパビリティがあります。
このようなNTTグループのリソースも使いつつ、脱炭素社会実現の支援を進めていく模様です。
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NTTの10年後の株価
まとめ
本記事では、NTTの10年後の株価を考えるためのヒントとなる最新の取り組みを紹介しました。
NTTグループの野望はIOWN構想の実現による、世界標準の奪取です。
その野望が実現した際には、NTTの10年後の株価にも大きなインパクトがあるでしょう。
また、NTTドコモやNTTデータといった中核子会社によるビジネスは、安定した成長が期待できそうです。
この内容を参考に、NTTの10年後の株価を考えてみてはいかがでしょうか。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。