アームって何やってる会社?
何がすごいの?
ARM(アーム)はイギリスの半導体関連企業。
昨今盛り上がりを見せている生成AIは、半導体(CPU)無くしては語れず、ARMも注目の半導体銘柄です。
2023年にはナスダックに上場し、株式市場での注目も高まっています。
とはいえ、
- アームって半導体の何を作っているの?
- エヌビディアとの違いは?
- 何がすごい? 将来性は?
などと、疑問に思う方も多いでしょう。
米国株を中心に4,000万程度の資産を運用している私が、ARM(アーム)について、株式投資初心者の方にも分かりやすくまとめました。
- ARMの事業概要
- ARMの強み
- ARMの将来性
この記事を読むことで、ARMの基本情報から、
その技術がどのように利用されているか?
そしてなぜ多くの企業がアームを選んでいるのか?
について理解することができます!
最後まで読んでいただくと、半導体銘柄としてのアームの魅力が分かります!
まだまだ伸び代があり、10年後の株価が楽しみな銘柄です。
アームの10年後の株価:
アームって何の会社?
まずはアームのビジネスをおさらいしていきましょう。
アームは世界的な半導体設計企業です。
そもそも半導体とは?
半導体とは、
- 家電
- 車
- PC
など、身の回りのあらゆる電子機器に用いられている部品です。
簡単に言うと、電子機器の脳みそ。
機器の性能は搭載されている半導体によりほぼ決まるくらい、重要な部品です。
特に、昨今の生成AIや自動運転といった最先端領域においては、膨大なデータを処理できる高性能な半導体が必要です。
半導体へのニーズは年々高まっており、5年後、10年後もそのニーズは不変と考えられます。
アームは半導体の何をやってる会社?
アーム(ARM:Advanced RISC Machines)は、イギリスに本社を置く半導体設計企業です。
アームを理解する上で欠かせないのは、アームは実際に半導体を製造しているのではなく、半導体の設計図を作成して他の企業にライセンス提供しているという点です。
料理に例えるなら、ARMはレシピを提供。
そのレシピをもとに各企業が独自の味付けを足しつつ、最終的な料理(半導体)を作るイメージです!
「絶対に美味しく作れるアームのレシピ」をベースに、各社の独自色を出せる遊びが残されているのがポイントです。
この設計図をもとに、
- Apple
- Samsung
- Qualcomm
- NVIDIA
などの大手テクノロジー企業がアームのIP(知的財産=設計図)を利用して、半導体を製造しています。
スマートフォンやタブレット、データセンター用の高性能なサーバーまで、幅広いデバイスにアームの技術が活用されています。
アップル&ソフトバンクと深いつながり
アームは2023年6月に、米国NASDAQ市場への上場を果たし、大きなマイルストーンとなりました。
そんなアームですが、その歴史は山あり谷あり。
特に、アップルやソフトバンクとの関係性は、アームを理解する上で欠かせません。
アームの歴史は、1978年に「Acorn Computers」という会社が設立されたことに遡ります。
Acorn Computersは元々、教育向けのコンピュータを製造していました。
その過程で、より高性能なコンピュータを作るためには、より高性能な半導体が必要なことに気づき、自社で「ARM1」という独自の半導体を製造し始めました。
ちょうどその時、アップルも当時開発していた次世代コンピューター「Newton」に適した低消費電力のプロセッサを求めており、「ARM1」が採用されました。
その後、この半導体の設計図を売る専門の会社を作る流れになり、アップルとAcorn Computersなどの共同出資により、アームは独立した会社となりました。
このような経緯から、初代iPhoneからARMアーキテクチャが採用されており、現在のApple製の「M1」チップにも用いられています。
iPhoneの普及とともに、ARMのビジネスも拡大していきました!
アームにとってもう一つの重要なイベントが、2016年のソフトバンクグループによる買収です。
当時からソフトバンクは、将来有望なテック企業に複数投資することで、唯一無二の企業グループを作ろうとしていました(群戦略と呼ばれています)。
買収前のアームは、スマートフォンの半導体市場において圧倒的なシェアを誇り、安定した収益を上げていました。
一方で、当時の孫社長はアームの技術を活かせば、スマホ以外の新たな市場でも絶対的なリーダーになれると確信し、3兆円もの資金を注ぎ込んで買収をしました。
その後、ソフトバンクGの傘下で力を蓄え、2023年6月にNASDAQに上場しました。
上場した現在においても、ソフトバンクGが株式の90%を保有しています!
アームの株価の10年後:
主な事業領域4つ
次に、アームがどのような領域で半導体の設計図を提供しているのか、事業領域を4つ紹介します。
- スマートフォン
- タブレット/ノートパソコン
- データセンター
- IoTデバイス
元々はスマホ向け半導体の設計図を扱ってきましたが、そこでの強みを他の領域にも拡大し、さらなる成長を目指しています!
なお、第5章「今後の占う注目のビジネス領域」で各事業領域の最新動向を紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。
アームの事業領域
①スマートフォン向け半導体
IOS、Androidを問わず、世の中の99%のスマホでアームの設計をもとにした半導体が使われています。
半導体はスマートフォンの「頭脳」。
近年のスマホの機能高度化、小型化にもアームが貢献しています。
意識せずとも、ほぼ全ての日本人がアームの製品を間接的に利用しているというわけです!
アームの事業領域
②タブレット/ノートPC向け半導体
アームのプロセッサは、タブレットやノートパソコンにも使われています。
例えば、iPadやChromebookの大手ブランドに採用されています。
元々は、Intelが高いシェアを誇る中、2021年時点で、ノートPC半導体のアームのシェアは二桁に上るまで成長していると推定されます。
さらにアームのCEOは、2020年代の終わりまでには、アームアーキテクチャのデバイスが、Windows市場で支配的なシェアを占めるようになると予測。
タブレット、ノートPC市場はシェアを拡大しつつあり、今後10年でさらなるシェア拡大を狙っています。
アームの事業領域
③データセンター向け半導体
生成AIの台頭により、データセンターのニーズはますます高まっています。
一方、データセンターの稼働には莫大な電気代がかかるため、企業にとっては維持コストや環境負荷が課題です。
これに対して、アームは1番の武器である“省電力”を活かして参入しています。
実際、既にGoogleやAmazonなどの大規模なデータセンターでは、アームアーキテクチャが採用され始めており、大量のデータを効率的に処理しています。
アームの事業領域
④IoTデバイス向け半導体
アームの技術は、
- 家電製品
- スマートホームデバイス
- 自動車
などのIoTデバイスにも使われています。
例えば、スマートスピーカーやスマート冷蔵庫などのデバイスは、デバイス自体に半導体が埋め込まれているため、音声で操作したり、遠隔から制御したりすることができます。
徐々に自動運転の社会実装が進んでいますが、自動運転車の制御にもアーム設計の半導体が使われています。
アームの株価の10年後:
アームのビジネスモデル
アームのビジネスモデルは、他の企業に半導体の設計図を提供するライセンスモデルです。
- 半導体の設計図を提供したタイミング(ライセンス料)
- 設計図を提供した半導体が出荷されたタイミング(ロイヤリティ収益)
のダブルで収益が発生するという、ユニークなモデルです。
①ライセンス料
企業がアームの設計図を使用したい場合、アームにライセンス料を支払います。
そうすることで、企業はアームの利用権を得て、半導体を製造することができます。
設計図の使用許諾料を請求するという、シンプルなビジネスモデルです。
②ロイヤリティ収益
アームのライセンスを使った製品が市場で販売される度に、発生する収益です。
例えば、iPhoneの半導体には、アームの設計図が使われているので、iPhoneが売れる度に、このロイヤリティ収益が発生するといったイメージです。
アームから見ると、営業コストや原価がかからず継続的な収益を得られるため、上手くいけば指数関数的な伸びが期待できます。
顧客の成功とアームの成功がイコールの成果報酬型になっている点も、ビジネスとしてとても健全です。
原価がほぼ発生しないので、粗利率はなんと95%!
最強のビジネスモデルです!
アームの株価の10年後:
何がすごい?アームの強みを解説
では、なぜアームはこれほどまでに広く使われているのでしょうか。
アームの強みは以下3点です。
- 省電力&高性能
- 柔軟なカスタマイズ性
- ビジネスの参入障壁
アームの強み
①省電力&高性能
アームのプロセッサはシンプルで効率的な設計をしているため、少ない電力で多くの作業をこなすことができます。
省電力のため、
- スマートフォン
- タブレット
- IoTデバイス
などのバッテリー持ちが良くなります。
また、小型でパワフルな計算能力を持つので、スマホやXRゴーグル等々の限られたスペースでも高い性能を発揮。
昨今の機器の小型化やエッジAIというのは、優れた半導体設計によって実現されています!
このように、低消費電力と高性能の両立が可能な点が、ARMの技術の一番の強み。
より小さく、より高性能なデバイスを作りたいエンドユーザー(企業)から選ばれ続けています。
アームの強み
②柔軟なカスタマイズ性
アームの設計を多くのメーカーが採用しているもう一つ理由は、その柔軟なカスタマイズ性です。
アームは基本的な設計図を提供し、企業はそれを基に自社の製品に最適化したプロセッサを作ることができます。
これにより、企業の特色を活かした形で、さまざまな用途やデバイスに対応した製品が作りやすくなっています。
また、アームの技術は長い歴史があり、多くの開発者やエンジニアが使い慣れていることも大きな理由です。
あくまで設計図の提供なので、Apple、サムスンなど競合同士にも気にせず販売できます!
アームの強み
③ビジネスの参入障壁
アームが行うビジネスは、非常に高い参入障壁があります。
まず、半導体設計の高度な技術力が求められる点です。
アームの技術は数十年にわたる研究開発の成果であり、新規参入者がこれから追いつくのは非常に難しいです。
アーキテクチャの設計から製品投入までは、最大8年を要すると言われています!
また、アームは多くの大手企業とライセンス契約を結んでおり、広範なエコシステムを構築しています。
このエコシステム内での互換性や信頼性も、他社が簡単に追随できない大きな強みです。
アームの株価の10年後:
今後を占う注目のビジネス領域
前述したように、アームはスマホ向け半導体設計で99%のシェアを持っており、岩盤ビジネスです。
一方で、そこで培った省電力の設計を、今後5年、10年と旺盛な需要がある領域に展開しようとしています。
ここでは、アームの今後を占う注目のビジネス領域をご紹介します。
- スマホ向け半導体(エッジAIの普及)
- データセンター市場の開拓
- 自動運転車市場の開拓
- XR、メタバース市場でのシェア獲得
①スマホ向け半導体(エッジAIの普及)
これまで、大量の演算が行われる処理は、端末からデータセンターにデータを渡し、計算結果をインターネット経由で受け取る方式が主流でした。
データセンターの豊富なリソースを使って高速な計算ができる反面、インターネット通信をするのでどうしても動作にラグが出てしまう点や、プライバシーが懸念として上がっていました。
一方、最近は半導体の処理性能の向上により、端末側で演算処理までしてしまう「エッジAI」という概念が普及してきています。
まさに、Appleが先日発表した生成AI機能「Apple Inteligence」では、多くの処理がiPhone上で行われる予定です。
生成AIをスマホ上で動かすには、より強力な半導体が必要。
アームはスマホ向け半導体設計では99%のシェアを持っていますが、この流れに乗ってスマホ向け半導体で、より大きな売上機会を得る可能性があります。
iPhoneはもちろんのこと、直近発表された最新アーキテクチャはGalaxyやGoogle Pixcelにも搭載されています!
アームからすると、そういった生成AI搭載の最新スマホが売れる度に、継続的な収入が得られる理想的なビジネス機会となります。
②データセンター市場の開拓
データセンター向けCPUは、長らくIntelの牙城でしたが、アームはデータセンター向けの製品を2022年に投入し、シェアを伸ばしています。
データセンターは膨大な電力を消費するため、メンテナンスコストがかさみ、かつ環境問題として問題になりがち。
なので、エネルギー効率の良いアームアーキテクチャは、データセンターを持つ企業にとっては願ったり叶ったりの製品というわけです!
実際に、
- Microsoft
- AWS
- NVIDIA
などが独自のデータセンター向け独自CPUを発表していますが、どれもアームアーキテクチャが採用されています。
ここ2年ほどでシェアを伸ばし、記事によると、現在はシェアを二桁台にまで乗せているということです。
2024年にはデータセンター向けの新型製品を発表し、より多くのシェアを取ることが期待されています。
GAFAM中心にデータセンター建設ラッシュですが、完成までには数年かかるため、これに関するロイヤリティ収益は、アームの収益にまだ反映されていないと思われます。
そのため、データセンター関連事業での、今後のアームの業績上振れ要因は大きいと予想できます。
③自動運転車市場の開拓
世界の自動運転車市場規模は、大幅に成長すると言われており、2032年には日本円にしてなんと6兆超えとなる予想です(自動運転車の市場動向調査)。
自動運転は、交通状況などをもとにAIが瞬時に判断をする必要があることから、車体側で動作するエッジAIが使われます。
また、耐障害性の観点でも、度々データセンターと通信するのは望ましくありません。
アームの省電力性は、車という限られたスペースで多くの処理が行われる自動運転と相性が良く、アームはこれまでに自動運転専用のアーキテクチャを複数開発しています。
複数の自動運転車メーカーに既に採用しているとされています。
今後、年平均40%程で成長する自動運転市場において、アームがシェアを取れれば、新たな自動運転車が製造される度にアームに収益が入るという、なんともスケーラブルなビジネスが実現します。
なお、直近では、最新のARMv9を自動車産業向けに最適化した最新のプロセッサー群と、バーチャルプロトタイピングソリューションを発表しました。
自動運転車の開発サイクルを2年程短縮できる画期的なソリューションです!
④XR・メタバース市場でのシェア獲得
- VR
- XR
- メタバース
と呼ばれる領域も、今後世の中的に活用が広がると考えられる領域です。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートによると、メタバースの市場規模は2030年にはおおよそ15倍〜30倍になる可能性があると(2022年比較)。
このようなXRの世界においても、アームアーキテクチャが活躍。
例えば、AppleVisionProに搭載されている、Appleの独自半導体「Mシリーズ」チップはアームをベースに作られています。
今後の普及に向けては、端末の小型化が必須ですが、そこではアームの省電力高機能な半導体設計が注目されるでしょう。
また、マイクロソフトのVRヘッドセット「Hololens」もアームアーキテクチャに移行することが発表されています。
スマホ半導体をアームが抑えたように、自動運転、XRといった次世代機器でもシェアを取れれば、今後10年でもう一段、二段の成長が期待できます!
アームの10年後の株価:
今後の業績を考える上での脅威(RISC-V)
半導体設計企業としてのアームの成功は、その高度な技術力と強力なビジネスモデルによるものです。
しかし、今後の成長を考える上で、RISC-Vという競合の存在が注目されています。
RISC-Vとは?
RISC-Vは「RISC-V International」という非営利団体により提供される半導体の設計図です。
- NVIDIA
- Huawei
といった大手企業が、この団体に参画しています。
オープンソースのため、誰でも自由に利用・カスタマイズができ、ライセンス料が発生しないのが特徴。
特に、コスト削減やカスタマイズ性を重視する企業にとって、RISC-Vは魅力的な選択肢となり得ます。
アームの脅威となりうるか?
RISC-Vの台頭は確かにアームの脅威となり得ます。
ただ個人的には、今後の成長を大きく妨げるものではないと予想します。
今日のアームの優位性は、数十年前からの地道な、長期の研究開発によって得られたものです。
そのため、RISC-Vが一気にこの状況をひっくり返せるかというと、簡単ではないと考えます。
コスト削減やより柔軟な半導体設計をしたい時の選択肢として、適材適所で共存していくと予想します。
仮に少々の市場シェアを奪われたとしても、市場自体が大きく伸びていけば、今後の成長ストーリーに大きな影響はないと考えます。
上記で紹介したように、
- 生成AI搭載のスマホ
- データセンター
- 自動運転車
- XR
などと、アームは伸び盛りの領域で複数ビジネスを行っています。
アームは多様な市場への対応力、継続的な技術革新、強固なエコシステムにより、今後も成長を続けると考えられます。
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まとめ
今回は、今注目の半導体企業ARMのビジネス概要や強み、注目の取り組みなどについてまとめました。
アームは1990年代から築き上げた省電力性を活かし、スマホの半導体設計で支配的な地位を築いています。
この強みを活かし、データセンターや自動運転、XRといった今後、市場拡大が見込まれる分野に進出しています。
2024年8月頭現在で、ARMの時価総額は1,200億ドルほど。
アップルやマイクロソフト、エヌビディアが3兆ドル前後なので、まだまだ株価の伸び代はあるように見えます。
この内容を参考に、ARMの10年後の株価を考えてみてはいかがでしょうか?
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。