日産の今後の株価は?
日産自動車は、トヨタやホンダと並び、日本の3大自動車メーカーと呼ばれています。
また、2022年年度の売上高は国内12位と、日本を代表する企業です。
その一方で、少し前はカルロスゴーンの逃亡劇や赤字転落など、世間を賑わせた日産。
10年度の株価はどうなるのでしょうか?
この記事では、10年後の株価を考えるヒントとなる、
- 事業内容
- 株価が低迷している理由
- 今後の注目事業
についてまとめました。
日産の10年後の株価:
日産自動車とは
日産の企業概要
1933年に日本で最初の自動車会社として誕生した日産自動車。
企業理念(NISSAN DNA)として「他のやらぬことをやる」を掲げています。
また、CMなどで「技術の日産」というフレーズを聞いたことがある方は多いのではないでしょか。
常に最新の商品開発や技術革新に取り組むことに重きを置いています。
実際、
- 2010年には世界初の量産型電気自動車であるリーフを発売
- 2019年には高速道路でハンズオフ運転を可能にする日本初の自動運転技術「プロパイロット2.0」を搭載
といった実績があります。
日産自動車の業績
日産自動車の直近5年の業績は下記の通りです。
売上高 | 前年度成長率 | 営業利益率 | 世界販売台数 | |
---|---|---|---|---|
2024年3月期 | 12兆6857億円 | 19.7% | 4.5% | 344万台 |
2023年3月期 | 10兆5966億円 | 25.8% | 3.6% | 331万台 |
2022年3月期 | 8兆4245億円 | 7.1% | 2.9% | 388万台 |
2021年3月期 | 7兆8625億円 | ▲20.4% | ▲1.9% | 405万台 |
2020年3月期 | 9兆8788億円 | ▲14.6% | ▲14.6% | 493万台 |
売上高は2021年度3月期を底に回復傾向にあるものの、利益面や世界販売台数は低調です。
特に、2020年度3月期と2021年度3月期には2年連続で最終赤字に転落してしまいました。
日産自動車の地域別の販売台数は下記の通りです。
地域 | 販売台数 | 前年度成長率 |
---|---|---|
日本 | 48万台 | 6.6% |
中国 | 79万台 | ▲24.0% |
北米(米国) | 126万台 | 23.4% |
欧州 | 36万台 | 17.2% |
その他 | 54万台 | 14.1% |
後で触れますが、日産はEV車の開発に強みがあります。
なので、EVが先行する欧州では売上が伸びています。
※2022年度に撤退したロシアを除けばプラス成長です。
北米では、これまでの値引き戦略を見直したことで、利益率は改善傾向にあります。
稼ぎ頭であった中国市場は、新型コロナの打撃でガクッと落ちてしまいました。
ここでいかに盛り返せるかが、今後の業績を左右するでしょう。
競合のトヨタ、ホンダと2024年3月期の業績を比較すると、下記になります。
企業名 | 売上高 | 世界販売台数 |
---|---|---|
トヨタ | 45兆0953億円 | 944万台 |
ホンダ | 20兆4288億円 | 412万台 |
日産 | 12兆6857億円 | 344万台 |
売上・世界販売台数ともにトヨタがダントツの一位。
2位と3位を日産とホンダが争っているような構図です。
日産自動車の10年後の株価:
株価低迷の理由
日産自動車の足元の株価は軟調です。
2010年代中盤には1,200円ほどあった株価は、現在は2024/6現在では540円ほどです。
配当利回りも1.5%前後と、成長性・株主還元ともにもう一声の印象です。
直近の株価が低迷の理由を下記にまとめました。
①業績不振
前述したように、2010年代中盤から業績の下降が続いています。
2019年度、2020年度はコロナショックもあり二期連続で赤字に転落しました。
業績不振により、直近の株価が低迷していると言えるでしょう。
業績不振に陥った背景としては、カルロスゴーン時代の
- 無理な成長戦略による車種、工場の乱立
- 値引きありきの販売によるブランド価値、収益性の低下
と分析されています。
日産の新車販売が低迷しているのは、ゴーン時代に推進してきた過去の無理な拡大戦略のツケが回ってきているためだ。
引用元:Business Journal
現在は、ゴーン社長の後の内田社長が、下記方針でで立て直しを行なっています。
- 儲かる市場、技術、領域への選択と集中
- 値引きありきの薄利多売を見直す
②ルノーとの対立
株価低迷の次なる理由は、20年来の協業関係にあるフランスの自動車会社ルノーとの対立です。
日産は1990年代後半に経営危機に陥り、ルノーの傘下に入る形で廃業を逃れました。
そこからは資本関係としてはルノーを親とする協業関係が続いていました。
一方、徐々にビジネス規模として日産がルノーを追い越す形となり、軋轢が生まれるようになりました。
2019年にルノーが日産に経営統合を求めたことが決定打となり、その対立は鮮明になりました。
日産のような規模の会社が世界と戦っていくためには、他社とのアライアンスが必要なのは明確です。
そのような中、ルノーとのアライアンスに関する不透明感が漂っていたことも、株価には悪材料でした。
一方、直近では、対等な資本関係を求めていた日産の要望が通る形で、ルノーとの対立は落ち着きを見せています。
三菱自動車を加えた「ルノー日産三菱アライアンス」で、世界と戦う下地は整ってきていると言えるでしょう。
日産自動車は13日、仏自動車大手ルノーとの資本関係の対等化を巡り、ルノーと最終契約を結ぶ方針を決めた。焦点となっていた、ルノーが分社化して設立する電気自動車(EV)の新会社「アンペア」への日産の出資額は1000億円程度とすることで一致した。
引用元:読売新聞オンライン
日産自動車の10年後の株価:
電動化社会に向けた長期経営戦略「Nissan Ambition 2030」
Nissan Ambition 2030とは
2021年11月に発表された長期経営計画「Nissan Ambition2030」では、電動化を中心に据えた成長戦略が謳われています。
具体的には、2030年までに下記の施策を実施します。
- 電動化への総額2兆円の投資
- 23種の電動車、15種のEVを投入(現在は3車種)
- グローバルで販売する50%以上を電動車にすることを目指す
- 2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVの市場投入を目指す
- 全個体電池の搭載によりファミリーカーなど大型車もEV化する
特に、全固体電池は注目技術です。
従来の電池に比べて、
- 充電時間が短い
- 寿命が長い
などの特徴があります。
現在の電気自動車は、充電の持ちや馬力が何かと課題になりがちです。
全固体電池はこれらの課題を解決し、電気自動車の普及を促進させる技術として期待されています。
【2023/10/17追記】
ジャパンモビリティショーにて、全固体電池を搭載したEVミニバン「ニッサン ハイパーツアラー」が発表されました。
コンセプトカーのため販売はされませんが、日産が描く将来像を垣間見ることができますね。
EVで先行する日産
前述したように、日産は2010年に世界初の量産型EV「リーフ」を発売しました。
現在においても、EV車の開発・販売実績はトヨタ・ホンダよりも先行しています。
具体的には、日産は
- 2023年6末時点で、EV車の累計販売台数が100万台を突破
- 2022年は国内だけで7万台以上のEVを販売
- ルノー・三菱自動車とのアライアンスとしては、2022年はEV車を28万3,000台販売(世界第7位)
なお、2022年のEV車販売台数(グローバル)は、トヨタ自動車:2万4000台、ホンダ:2万7000台。
比較すると、日産のEV車販売台数が進んでいることが分かります。
調査会社マークラインズが16日までにまとめた2022年の電気自動車(EV)世界販売台数ランキングによると、日本勢は日産自動車・三菱自動車・仏ルノーの3社連合が28万3000台(シェア3.9%)で7位に入ったのが最高だった。
引用元:JIJI.com
今後、EV車が普及すると予想される中、国内メーカーとしては良い立ち位置にいます。
アライアンスの深耕で世界を目指す
向かうべきは脱炭素社会。
その中で、日産自動車の未来は「ルノー日産三菱自動車アライアンス」に大きく依存しています。
2022年「Road to 2030」という新しい戦略を発表し、協力を一層深める動きを見せました。
Road to 2030戦略の一部として、自動車を作る過程で、共通の基盤を使う部分を80%まで増やすという目標が設定されています。
この共通基盤を使うメリットとして、
- 部品のコストを抑えられる
- 製造の効率が上がる
などが挙げられます。
さらに、お互いの工場の設備を共有することで、世界中で強い製品を開発することができます。
具体的な例として、三菱自動車がヨーロッパで発売を予定している新車は、ルノー社の部品を流用して生産されるそうです。
また、電気自動車(EV)に関しては、「CMF-EV」というプラットフォームが注目されています。
このプラットフォームを使って、EVの製造において90%の部分を共通化し、2030年までに35種類のEVを市場に出す計画です。
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日産自動車の10年後の株価
まとめ
本記事では、日産自動車の株価が低迷している理由や今後に向けた注目の取り組みをまとめました。
日産自動車の株価は、直近の業績低迷を理由に軟調です。
しかし、EV車の開発・販売に関しては国内メーカーの中でも先行しています。
ルノーとのアライアンスを上手く活用しつつ、再び世界で輝く日がくるのか?注目です。
その他、当メディアでは、米国株・日本株の注目銘柄について、投資判断に役立つ最新情報をまとめています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。