エヌビディア株の将来性は?
エヌビディアはアメリカ発、グローバルな半導体メーカー。
1999年にGPUと呼ばれる、文字だけでなく画像も処理できる高性能な半導体を開発し、一躍有名になりました。
上場以来、ピーク時で株価は300倍以上にもなっている、投資家にも注目の銘柄です。
生成AIが全盛を極める昨今において、株価は上昇基調にありますが、今後の値動きが気になる方も多いでしょう。
エヌビディアの10年後の株価を考えるヒントとなる、エヌビディアの最新の取り組みをご紹介します。
現在のテクノロジーの進歩は、エヌビディアの進歩と言っても過言ではありません。
エヌビディアへの投資を検討している方は必見です。
エヌビディアの株価の10年後:
エヌビディアって何の会社?
最新の取り組みの前に、まずはエヌビディアの基礎的なビジネスをおさらいしていきましょう。
エヌビディアは世界的な半導体メーカーです。
そもそも半導体とは?
半導体とは、
- 家電
- 車
- PC
など、身の回りのあらゆる電子機器に用いられている部品です。
簡単に言うと、電子機器の脳みそ。
機器の処理性能は搭載されている半導体の性能によりほぼ決まるくらい、重要な部品です。
特に、昨今の生成AIや自動運転といった最先端領域においては、膨大なデータを処理できる高性能な半導体が必要です。
半導体へのニーズは年々高まっており、10年後もそのニーズは不変と考えられます。
エヌビディアの凄さは?
エヌビディアの強みは、なんと言っても、自ら発明したGPU(半導体)。
非常に高性能な半導体なため、世界中の先端サービスに広く用いられています。
特に、データセンター向けの半導体で圧倒的なシェアを誇リます(95%とも言われます)。
AWS、GCP、Azureのメガクラウド3社全てが、自社データセンターに採用しています。
現代の高性能・低遅延のパブリッククラウドに、エヌビディアのGPUは不可欠なのです。
さらに、世界の上位500台のスーパーコンピューターのうち、7割がエヌビディアのGPUを採用しているとも言われています。
生活者が直接利用するサービスは提供していませんが、GAFAMにも劣らない影響力を持つ、縁の下の力持ち的な存在です。
エヌビディアの株価の10年後:
生成AIだけではない!注目の取り組み4選
これまでの技術革新を支えてきたエヌビディアですが、10年後の株価はどうなるでしょうか?
実はエヌビディアは、GPUを中心とした領域特化型のサービスを複数展開しています。
その中でも、今後世の中のトレンドとなるのがほぼ確実の3つの領域について、エヌビディアの取り組みを紹介します。
- Generative AI(生成AI)
- メタバース
- 自動運転車
それでは、早速見ていきましょう。
エヌビディアの注目の取り組み①
Generative AI(生成AI)
GenerativeAI(生成AI)は、ChatGPTの出現で一躍有名になりました。
10年後の私たちの生活を大きく変えていることでしょう。
この技術革新にはエヌビディアが大きく貢献しています。
ChatGPTの開発元“OpenAI”のデータセンターでは、数万のエヌビディアGPUが稼働しているのです。
さらに、エヌビディアはこの知見を活かし、生成AIを用いたアプリ開発に特化した開発プラットフォーム「Nemo framework」を開発しました。
これにより、中小規模の企業でも生成AIを用いたアプリ開発が容易になります。
生成AIモデルが内蔵されているだけでなく、アプリ開発に必要な一連の機能が標準搭載。
これにより、企業は生成AIを用いたアプリ開発を効率良く行うことができます。
AdobeやAWSといった一流企業が早くも提携・採用しています。
- Adobeは、既存のAdobeアプリへの生成AIの組み込みに、Nemo frameworkの活用を発表
- AWSは、AWS上での生成AIモデルのトレーニングや、アプリ開発にNemo frameworkを搭載
他にも、生成AIモデルを作れる高機能PC機能をクラウド上でレンタルするサービスを開始しています。
生成AIの普及により、エヌビディアの売上は前年比で数倍になるなど、爆発的な成長を遂げています。
【2023/10/17 追記】
生成AIに関して、Google CloudやHugging Face、SnowflakeやServiceNowといった大手テック企業との協業を次々と発表しています。
ChatGPTをはじめとする生成AIが一躍ブームになっており、IT大手は競うように生成AIへの投資をしています。
その中でもエヌビディアの10年後の株価を考える上で注目すべきは、各社のデータセンターへの投資です。
生成AIを作るには、いかに大量のデータを効率良く学習させるかが肝なので、データセンターが競争力の要なのです。
例えば、マイクロソフトとオープンAIは1,000億ドル(日本円で約15兆円)をデータセンターに投じることを発表しました。
投資の大部分は必要なAIチップ調達のためのといい、エヌビディアが恩恵を受けるのは間違いないでしょう。
マイクロソフトが開発中の4段階目のオープンAI向けスーパーコンピューターは26年に投入される見通しで、スターゲートは5段階目となるという。4、5段階目の開発コストの大部分は、必要なAIチップの獲得に関連するものになるという。
Reuters Japan
また、アマゾンは今後15年間で1,500億ドル(日本円で約30兆円)のデータセンターへの投資を発表しました。
エヌビディアは、IT大手の今後5年、10年の長期スパンでの投資対象になっており、今後も恩恵を受けると考えられます。
エヌビディアの注目の取り組み②
メタバース
エヌビディアは、メタバースアプリを作成・運用するプラットフォーム「Ommiverse Cloud」を提供しています。
Ommiverse Cloudの主な用途は下記2つです。
- クリエイター、開発者向けのメタバースアプリ開発支援
- 企業向けの業務効率化支援
現時点で豊富な事例を持つのは、後者の企業向け支援です。
主に製造業向けに、デジタルツインや仮想のシュミレーション空間を生成することによる生産効率化を支援しています。
メタバースの市場規模は2030年には80兆円弱になると予想されています。
2021年比較の約40倍です。
生成AI同様に、メタバースにおいても、エヌビディアのGPUが不可欠になる日が来るかもしれません。
なお、2024年現在、Amazonの物流倉庫や英国の原子力発電所などでも、着々と採用されているようです。
エヌビディアの注目の取り組み③
自動運転
自動運転には高精度なセンサー(ハードウェア)や、AI(ソフトウェア)不可欠です。
エヌビディアは、自動運転車の開発に必要なインフラを提供しています。
まず特徴的なのが、自動運転のソフトウェア開発に最適化されたOS、”DRIVE OS”です。
最先端GPUはもちろんのこと、車載センサーなどのハードウェアや、AIモデルとの連携機能などが含まれています。
これを活用することで、自動運転車の開発が容易になります。
また、OSだけではなく、アプリケーションも提供しています。
下記はエヌビディアが提供しているアプリケーションの一例です。
- 自動運転車用の地図の作成、更新を行うDRIVE MAP
- 車室内をセンシングするDRIVE IX
- 対話型AIでドライバーのデジタルアシスタントとなるDRIVE Concierge
このような自動運転車の開発に不可欠なOSやソフトウェアの開発を、下記の企業と共同で進めています。
- ボルボやベンツ、ヒュンダイといった自動車メーカー
- Amazon傘下のロボタクシー開発のZoox
- Amazonが出資の自動運転トラック開発のPlus
その他、新興EVメーカーや、BYDなどの大手自動車メーカーが、自動運転にNVIDIA製品を採用していると報じられています。
本格的な普及はこれからの自動運転車ですが、エヌビディアは強みのGPUを活かし、ビジネスの種まきをしています。
5年後、10年後とあらゆる自動運転車にエヌビディアのOSやアプリが組み込まれる日が来るかもしれません。
エヌビディアの株価の10年後:
死角はある?成長ストーリーが崩れるパターンも考察
全盛を極めているエヌビディアですが、5年後、10年後に向けて死角はないのでしょうか?
個人的には、エヌビディアの牙城が崩れるとしたら下記のような観点かと思います。
①生成AI投資の減退
昨今、エヌビディアのビジネスが加速度的に伸びている理由は、ひとえに大手IT企業の生成AI投資が活発だからです。
上記で紹介したように、各社データセンターの整備を急いでおり、そのGPUにエヌビディアが独占的なシェアを築いています。
なので、反対に世の中の生成AIへの投資ニーズが減退した時、エヌビディアは今ほどの勢いを保てないでしょう。
生成AIへの投資ニーズが減退するタイミングとしては、
- 生成AIへの投資が一巡する
- 米国が景気後退に陥り、各社が新規投資に慎重になる
といったシーンが考えられます。
一方、まだまだ生成AIは始まったばかりで、各社業務への組み込みはこれからです。
今後数年のスパンで見ると、益々生成AIの需要が増えていくと見ています。
②大手ITのGPU内製化
次に考えられるのが、大手ITが内製化に成功するパターンです。
大手IT各社は、GPU調達のために巨額のお金をエヌビディアに支払っていますが、正直、ビジネスとして望ましい状態ではないでしょう。
自社のビジネスを伸ばそうとすると、比例して外部支払いが発生してしまうためです。
実際に、大手ITには、製造プロセスを内製化する動きがあります。
例えば、Appleは長年Macbookの半導体をintelから調達していましたが、2020年に、独自の半導体(M1チップ)を採用しました。
これにより、Appleは自社で製造プロセスをコントロールできるようになり、より高度なUXや利益率の高いビジネスを実現しました。
一方、intelは「PC用の半導体といえばintel」といった存在でしたが、その地位を奪われてしまい、業績はここ数年振いません。
実際、マイクロソフトは半導体チップの内製化は試みているようなので、中長期には同じようなことが起きるかもしれません。
もちろん、Appleも半導体を内製化するのに相応の年月がかかったことから、今後5年、10年といったスパンの話でしょう。
エヌビディアの株価の10年後:
まとめ
本記事では、エヌビディアの10年後の株価を考えるためのヒントとなる最新の取り組みを紹介しました。
エヌビディアは現在生成AIで注目されていますが、実はメタバース、自動運転、ヘルスケアといった近未来トレンドに関して、しっかりと足場を固めてきています。
一方、エヌビディアは大手IT各社にGPUを供給する立場のため、大手ITの投資意欲が減退すると、雪崩式に業績の伸びが止まる可能性があります。
この内容を参考に、エヌビディアの10年後の株価を考えてみてはいかがでしょうか。
なお、半導体関連銘柄として、筆者としてはARM(アーム)にも注目しています。
スマホの半導体設計シェア99%、粗利率95%の驚異のビジネスモデルを他の領域にも展開しようとしています。
事業内容や注目の取り組みを下記にまとめたので、ぜひご覧ください。
米国株投資で、より豊かな人生を描きましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。